
返報性の法則、コミットメントと一貫性、希少性、権威など、あらゆるナンパテクニックのベースとなっている考え方はこの本に網羅されているといっても過言ではありません。
「影響力の武器」とは、アメリカ人の心理学者によって提唱されたアプローチ方法です。
この本の中で、人はどのように説得され、なぜ望まれた行動をとってしまうのかについて、心理学的側面から分析しています。
著者の「思わず買ってしまった」「つい寄付してしまった」などの苦い体験も事例としてあげながら、「人を説得し、その人から望む行動を導き出すための“武器”(=アプローチ)」には、6つのパターンが存在すると説明しています。
1.返報性
「受けた恩は、返したくなる」という人間の心理に基づいたものです。
いわゆる「ギブ・アンド・テイク」のことです。
他人から何かしら施しを受けたとき、人は恩義を感じ、それを返したいという気持ちを持つ傾向があります。
例えば、スーパーである食品を試食し、美味しいという理由よりも無料で試させてもらったことを理由に購入した、など、思い当たることは多いでしょう。
2.コミットメントと一貫性
人は誰しも「表明した約束を守ろうとする」気持ちを持っています。
なぜなら、社会では一貫性のある人物が評価される傾向があるため、自分が決めたことを口にしたり、書面に残したりすると、それを守ろうとする気持ちが強くなります。
例えば、ボランティアについてのアンケートで「今後やりたいと思う」と答えた人ほど、実際にボランティアを依頼された際に参加する傾向にあったという調査データがあります。
人は自分の意志でコミットしたものに対して、一貫した姿勢を保とうとします。
この習性をうまく活用した武器が「コミットメントと一貫性」というアプローチです。
相手が承諾しやすい小さな要求から始めて、徐々に要求を大きくしていく「フット・イン・ザ・ドア・テクニック」という有名な心理テクニックも「コミットメントと一貫性」の原則を利用したものです。
3.社会的証明
「周囲の動きに同調したくなる気持ち」も、実は人の行動を大きく左右する要素です。
たとえば、街頭で多くの人が空を見上げていたら、その場に遭遇した人のほとんどは同じように空を見上げる、と本の中で紹介されています。
これは「みんながやっているからには何か理由や価値があるに違いない」という心理が働き、他者の行為を自分の行為に反映させる傾向があるためです。
4.好意
「好きな人に同意したくなる」気持ちも、人の心を大きく動かします。
仲の良い友人のおすすめ商品を購入したり、お気に入りの店員からたくさんの商品を買ってしまうなど、好意があったからその行動をとったというよう経験がある人は多いでしょう。
つまりは、ターゲットに「好意」を抱かせるようなアプローチも有効な影響力の武器なのです。
5.権威
「肩書きや経験などの“権威”を持つ者に対して、人は信頼を置く」ことから、権威づけを活用したアプローチも人の行動に大きな力を発揮する武器です。
その分野において知名度の高い組織や発言力のある人などの意見に従うのは、まさに権威を求める人々の心を刺激した結果と言えます。
6.希少性
「限られたものほど、欲しくなる」という心理を利用するというアプローチです。
“モノ”の希少性を高める方法として、個数限定、シーズン限定、地域限定などがあります。
ECサイトの時間限定のセールなども、このアプローチの典型といえます。
また、希少性を高める方法としては、ターゲットの“権限”を限定するという手法もあります。
会員登録した人にのみ展開される特典を訴求し、プレミア感を増したり、ターゲットとの関係性を深化させたりということもできます。
もともとはセールスマンやセールスマンに騙されたくない人のためにあるような本なのでビジネスや日常生活にもかなり役立ちます。
この本の内容を理解してナンパに応用することができれば大きな成果を得ることができるでしょう。
と、まあ色々書きましたが、読んでいて一番気になったのは、「この本の著者、どんだけ人に騙されてんの?」ってことですねw